続いてエルメス手しごと・Ⅲの投稿ですが、
表側(背胴蓋)に裏革を張り合わせたところの続きになります。
ボンドは、両方の四方1㎝程度塗り貼り合わせますが、
ほとんど、感覚で貼っています。
何気ない作成風景ですが、バッグのスタイルが決まる
とても重要なところです。
背胴側と、かぶせ蓋の前面はやや平らに貼り、
ショルダーの取り付けてある天かぶせ部分は、
アールをつけて貼り合わせていきます。
きちんと貼り合わせたら、貼ったところだけハンマーでたたき圧着固定しています。
作業台は2~3㎝厚の大理石の台ですね・・・
私も持ってはいますが、裁断と作業をするところが
同じなので、重たく移動が大変だから使っていません。
色んな意味で、安定していていいですけどね・・・(*_*;
貼り合わせた後は、裏側(内装側)に付けてあるチリのカットですが、
かぶせ先の方を見ると、平均したチリ幅でなく随分余裕をつけてあります。
チリ落としは、先を斜めに刃をつけたナイフを使い本体基型の外側に沿ってカットして行きますが、
包丁を使い、平らにして切る私にはここも見どころでした。
チリはかぶせの方は残して、背胴部分(マチを貼り合わせる方)だけのカットのようですが、
かぶせの方は縫った後にカットするのでしょう。
この後、かぶせ蓋部分の縫いになります。
シボ革で分かりずらいですが、表革の方に縫い穴の後がつけてあるのが分かります。
麻糸に蜜蝋を塗り、2本針を使ったサドルステッチという手法、
手縫い本来の錐を持ち、穴をあけながら縫っていきます。
表(右)から錐で穴をあけ、抜きながら裏側(左)の針を刺し・・・
という感じで、後は教室での指導と同じです。
・ ・ ・
こうした、一流の職人による実演は、なかなかお目にかかれるものではありませんが、
イベントでのデモンストレーションなので、100%の技術公開ではないものの
180年以上の長い歴史の中で道具や技術の全てが完成され、
そういうものに目を触れることが出来て、良かったと思います。
一つ一つ、職人の手仕事によって出来上がるバッグは、一つとして同じものがないと・・
通訳さんが言ってましたが、作り手の立場からするとわかる気がします。
投稿の方は、バッグつくりの全行程のほんの一部ですが、
一つでも参考になったところがあれば、良かったと思います。
後
職人の付けていた
エプロンの針と糸巻きをもって走る・・職人プリントが可愛かったですね・・・ ^^)
2017.3.25